ちーちゃんはちょっと足りないを読みました
実は阿部共実先生のお話が大好きです。
ということで今回は「ちーちゃんはちょっと足りない」をご紹介します。
紙の本はこちら↓
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)
- 作者: 阿部共実
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2014/05/08
- メディア: コミック
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Kindle版はこちら↓
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ もっと!)
- 作者: 阿部共実
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2014/05/08
- メディア: Kindle版
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このコミックスは"このマンガがすごい"にも選ばれたことがある作品なのでご存じの方も多いかも知れません。
かなり今更かも知れませんが、ネタバレありで感想を書いていこうと思います。
まだ読んでない方はご注意くださいね。
まず阿部共実先生を知らない方に分かるように少し説明をさせていただきます。
阿部先生はこれでもかという鬱作品を描かれる事で有名な方だったりします。
「大好きが虫はタダシくんの」というタイトルで検索したら多分成る程と納得していただけるのではないかと思います。
大好きが虫はタダシくんの 阿部共実作品集 (少年チャンピオン・コミックス)
- 作者: 阿部共実
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2014/12/10
- メディア: Kindle版
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でも実は鬱作品だけしか描かれないわけではなくて、ほのぼのした作風の漫画だったり、思いっきりギャグを描かれたりもされているんですね。
で、「ちーちゃんはちょっと足りない」に戻るんですけど、この作品はどっちの方向にシフトした漫画なのだろうかと読む前にちょっと構えるじゃないですか(いきなり鬱作品を食らうとダメージが大きいので(笑))。
読み始めたところどうやら日常ものらしいということでちょっぴり安心した記憶があります。
タイトルに相応しく、色んなところがちょっぴり足りない(考えだったり、言葉だったり、身長だったり)ちーちゃんという子が出てきて、その子に周りが振り回されるギャグ漫画なのかなと、そんな風に思いました。
だって第一話何回キン○マって出てくんねん!て感じで下ネタに振り切ってる感じでしたし(笑)
でもなんというんだろう?
回を重ねる毎にモヤモヤというんでしょうか?
なんか胸にザワザワしたものを感じる方向性になってきて「やっぱ阿部共実先生はこうでなくちゃ!」と思っちゃいました(笑)
タイトルとストーリーの始まり方でちーちゃんが主人公の話なのかなと思ってしまうんですが、本当のところ真の主役はその友達のナツなのかなと段々気づき始めるんですね。
ナツはちーちゃんと同じく団地に住んでいて、母子家庭であまり裕福でもなくて、友達も少なくて、頭もあんまり良くない。
でも本当はお金で好きなものを好きなだけ手にいれたいし、目立ちたいし、友達ももっと欲しいし、恋人も欲しい。
なんというか誰もが見ていて何か一つは彼女のネガティブな面に感情移入してしまうんじゃないかなあと思うんです。
そしてジワジワボディブローを食らったみたいに読んでいてお腹が痛くなるという。
タイトルは二重に意味があって勿論最初に描いたみたいな意味もあるんでしょうけど、お金だったり、なんだったり、生活していく上で何かちょっとだけ足りない状態なのがちーちゃんなんですよね。
作中ちーちゃんはクラスメイトのお金を盗むというやってはいけないことをしでかしてしまいました。
ちーちゃんはそのお金をナツにあげようとします。
ナツは内心悪いことで得たお金なのではと疑うのですが、誘惑に負けてそのうちの1000円だけ貰ってしまうのです。
絶対に2人だけの秘密だとちーちゃんに言い聞かせて。
その後、それ(人のお金を盗むこと)がいけないことなのだという認識がない(もしくは緩い)ちーちゃんは皆の前でお金を取ったことを話してしまいます。
そして当たり前のようにめちゃくちゃ怒られるのですが、約束を頑なに守ってナツに1000円をあげたことは言わず。
でもちーちゃんはその事を反省しているんだなと言うことがその後感じられたので、きっと彼女は彼女なりに成長してるんだろうと思いました。
問題はやはりナツですよね。
ナツはその1000円を使って可愛いリボンを買って学校に行っても誰からも気付かれず、あまりの居たたまれなさに仮病を使って保健室に逃げ込みます。
その保健室に逃げ込んでる間にちーちゃんの泥棒宣言で一悶着あった訳ですが、彼女は勿論そんなこと全く知らないのです。
こともあろうか、いつも一緒にいる旭の態度の変化で「ちーちゃんはきっと盗んだお金を自分に渡したことを言ったに違いない」と思い込んでしまうから質が悪い…
本当はここでああしてればこんな風にならないで済んだのにというルート分岐箇所みたいなのはあるんですよね。
それをことごとくバッドの方向に進んでいくナツを見てると胸が苦しくなってしまいました。
最終的にナツが周りから(特に旭から)どう思われてるかだとかはナツ視点のモノローグしかなくて、結局どうなったのかは読者が想像するしかありません。
出来れば閉じた世界に引きこもらずに、ナツも変わっていって欲しいなと願わずにいられませんでした。
見た目がヤンキーな藤岡さんが凄く人情味ある良い子で、平凡すぎる普通のナツの中味はどろどろで…
その対比もなんとなく「現実もそうなのかも知れないなあ」なんて思えたりしてちょっぴり鬱でした。
しかしこの作品は読み手によってその終わりがバッドエンドかハッピーエンドか変わる話なのかなとも思いました。
ちなみに相方は最後はナツとちーちゃんが仲直りしてハッピーエンドなんじゃない?って言ってました。
私はバッドエンド説を推してしまうかなあ。
でもさっきも書いたみたいにあえてはっきり描かない事がその後ハッピーエンドにもなり得ると示唆しているような気もするのです。
貴方はどのように感じられるでしょうか??
もし良かったら感想など聞かせてください。