サブカルとの接近遭遇そして…
という訳で。
いきなり何?と思った方、申し訳ありません。
小骨が喉に引っかかったようにずっと気になっていたけど読むのが恐ろしかった作品、「四丁目の夕日」を読了したので何か書きたいなあと思ってこうしてブログを認めております。
いつも意識してブログタイトルに読んだ本の題名を入れているんですが、この本に関しては果たしてオススメという言葉で表しても良いものかと悩ましくて変則的な記事名にさせていただいております。
文庫版の表紙は何やら長閑な雰囲気すら感じられそうな昔ながらの家屋の写真が使われているので、中には「映画にもなったやつでしょ?」と無防備に手に取ってしまう人もいるかも知れませんがちょっと待って。
多分貴方が思っているのは「三丁目の夕日」!
この作品を紹介する様々な方がおっしゃっていることかとは思いますが、一丁目違いで内容は全くの別物なので取り扱いには充分気を付けていただきたい所存であります。
内容の説明を簡単にすると、不幸を煮詰めて煮詰めてギュッと凝縮した様なそんなお話です。
一応ここからネタバレやら考察ありという形で書かせて頂こうと思っているので、まっさらな状態で読み始めたい方はここから先は読まないでくださいね?
国立大学への進学を目指す高校三年生のたけしは、母親が庭でゴミを燃やしていた際にスプレー缶の爆発事故に巻き込まれて大怪我を負ったのを皮切りに、その治療費を稼ぐ為に無理して働き詰めだった父親は印刷機に巻き込まれてぐっちゃんぐちゃんになって死亡。たけしは大学進学どころか最終的には家財全てを借金取りに差し押さえられて他所の工場に働きに出て幼い弟妹を育てる事になってしまいます。
こう書くと単純に苦労話だとか可哀想な話なんだなあと思われるかも知れないんですけれど、なんて言うんだろうなあ…
たけしは自分が勉強ができる優等生で他の人とは違う人間だと自負しているところがあるから今までと真逆な暮らしを強いられるようになっても変にプライドを捨てきれないというのか…(※個人の感想です)
たけしが転がり落ちるように不幸になる様は見ててめちゃくちゃ嫌な気持ちになるだけで応援したくなる感じではなかったなあ(こう書くとマジで私は鬼なのか)。
結局物語が進むにつれてたけしは精神を壊していってしまって、数年ぶりに旧友と元彼女に再会した時の姿は痛々しくて本当に見てて辛いのです。
この話、実は浮世離れしている様でいて金持ちの友人が一番まともな神経をしてるような気がしたのは私だけでしょうか…?
やってること全ては称賛し難いけどなんだかんだ人間らしく生きられた人なのかなって。
因みに元カノの行く末は残当と思いましたわ。寧ろぬるいくらいある。
物語の終盤で信じられないような大事件が起きる訳ですが…
その辺りは色々めちゃくちゃ嫌悪感のある描写なんだけど…山野先生の描くああいう展開とかキャラクターって妙に生々しくてヤダ(笑)
いや本当笑い事じゃないんだけどさ。
この話はかなり“昔の話”ということを考慮して読むと私の言う生々しさが少し分かるかも…?
しかし結末はびっくりするほど穏やかで、それは山野先生のある種の慈悲なのかもと思ったりもしましたが、本音を言えば全く救いになってないという気持ちが強いですね。
取り敢えず読み終えて一つ確実に言えることは、この漫画を読んで愉快な気持ちになる人はいない(と思う)ということでしょうか。
しかし今回かなり気合入れてこの話を読んだけれど、思ったより自分にダメージが少なかった事に驚いております。
もっと年齢が若い時に見たら更にキツかっただろうなあとか、多少ネタバレ齧ってから見始めたから良かったのかな?とか色々思うことはありますが、もし読んでみようと思われた際にはこの作品は“心身ともに健やかな時に読むもの”だというのを忘れないでいただきたいですね。
まあここまで長々書いたんで、私がサブカルくそ野郎だという事に気付いた方も多いのではないかと思います。
そう、私は所謂ガロ系ですとか、サブカル系と呼ばれる作品を好んでよく読んでいるのです。
かと言ってそんなに多くの作品を読んだと言えるほどは詳しくないので、かなり半端者である事をお許しください。
折角なので過去に読んだもので私の人格形成に影響を与えたであろうある種のターニングポイントになった作品を軽く紹介したいと思います。
何を隠そう私が生まれて初めて目にしたガロ系漫画は「南くんの恋人」なのです。
このタイトルを聞いて「えっ?!」と思う方は多いと思います。
この作品は過去に何度もドラマ化されていて、それを見た人は突然小さくなってしまった女の子ちよみとその恋人南くんの触れ合いをハートウォーミングに描いたラブストーリーであると解釈してる人が殆どだと思うんですね。
私が子供の頃には高橋由美子さんと武田信治さんが出ていたドラマがやっていて、私もそれを見ておりました。
漫画が原作だとは全然知らずに見てたんですけど、原作があると知ってしまったらやっぱり読みたくなるじゃないですか。
高校生の時に友達が持っていたのを借りて読んだんですが、その内容のハードさに当時の私は恐怖すら感じたのです。
以下、エロい下ネタ含むネタバレを書くので苦手な方はスルーで!
作中、体が小さくなったちよみと南くんがセックスするシーンがあるんですよ。
ちよみの手のひらに乗るような小さい体に挿入ができる訳もなく、南くんは注射器に自分の精液を入れてちよみに注入したりして…
作者の内田先生が後書きで書いてらしたと思うんですが、体の大きさが違うからプラトニックな関係なんだと勝手に解釈されたけれどそんな事はない!!とこういうシーンを描き上げた(何分何十年前に読んだので細部違ったら本当に申し訳ありません💦)と読んで衝撃でした。
あとちよみの存在がどこか邪魔になってきた南くんがちよみの手足を引きちぎる夢を見たり…
もう大人になって何十年だけど思い出して書いてて結構しんどいです😱
多分好きな人は凄く好きな世界観だと思うんだけど、ドラマを見てその頭のままで読むべき漫画では無かったなと強く考えさせられました。
内田先生の絵は結構デフォルメされてる作風なので、一見毒のない可愛い少女漫画風に見えてしまいそうなのも更にダメージを増幅させてる気がしますね。
そんなこんなだったので、その時友達にうまく感想とかが言えなかった気がします。
自分は未だにトラウマなところあるけど友達はどんなことを思ったのか聞いておけば良かったなあ。
今度会った時に聞いてみたいと思います!
そしてそこからどれくらい経ってからだったかなあ?
私4コマ漫画が好きで、A5版サイズのコミックスをよく読んでいたんですよ(今もだけど)。
私今でもたまにしちゃうんですけど、所謂ジャケ買いですか(正しくは表紙買いかな?)あれを試みた時のこと。
ちょうど目に止まったのが「ねこぢるうどん」。
この写真に出てるのはハードカバーっぽいけど、私が手に取ったのは確か普通の漫画の単行本と変わらないソフトカバーだったと記憶しています。
可愛いネコちゃんが出てくる癒し系4コマかな??なんて思って読み始めたのが運の尽きというヤツだった…(表紙の色味で気付けって今は思いますが😂)
あんまりにも内容が恐ろしくて、購入したのに一度しか読まずに手放したのはその本が初めて。
一応誤解がない様に言っておきますが、この漫画は別にホラーって訳じゃないのです。
エロらしいエロもないし、グロも絵的にはそこまでないと思います。
本当の本当にザックリ内容を言うなら主軸になるのは幼いネコの姉弟とその家族を描いた話だから、もしかしたら読んだとしても私の反応に対して「大袈裟すぎwww」で済む人もいるのかも知れない…
無邪気故の残酷さだったり、不条理過ぎる展開が絵の可愛さ(当時可愛いキャラだと思っていた)とアンバランスで私にとってそれが猛烈に恐怖だったのです。
だってさー「うちの子去勢してください」ってうどん屋に連れていくおかん(猫)とか狂気じゃない?
うどん屋(猫)に「うちはうどん屋なんですけど…」みたいなこと言われてもゴリ押しで去勢させて子供死ぬというね。
本当なんなん?!と当時ビビり散らかしたエピソードです。
ねこぢる先生は残念ながら今はお亡くなりになってもういらっしゃらないのですが、このブログの冒頭で紹介した「四丁目の夕日」の作者である山野一先生と夫婦でらしたと言うのを知って、これ以上ないほどに納得したのを思い出しました。
山野先生の作品も本当漫画界の極北というか誰も真似できない世界観を確立してる訳ですが、それとまた別角度で精神攻撃を仕掛けてくるのがねこぢる先生の作品だと思うの(※褒めてます)。
うーむ…さっきの「南くんの恋人」もどっちも10代で通る道では無かったかな😓なんて(どちらも作品としては素晴らしいと思っています)。
そしてまた時は変わりそれなりに大人になって。
いつも通っていた古書店で見た本のタイトルと表紙に凄く興味がわいてしまったのです。
まず一冊目は「薔薇色ノ怪物」。
その時は丸尾作品を読んだことが無かったし、どんな内容かも分からなかったので(ネットもそこまで普及してなかったのです)なかなか購入する勇気がなくて、いつも行っては背表紙を撫でてみたいな怪しげな行動を取っていました(笑)
結局好奇心に負けて買って読んでそこから丸尾作品にどっぷり浸かる事になるんですが、その時はそうなるとは思いもよらずでしたね。
もう一つ気になっていたのは駕籠真太郎先生の「喜劇駅前虐殺」。
再び同じような言い回しになるけれど、駕籠先生を1ミリも知らないその時の自分には喜劇と虐殺がどう結び付くのかさっぱり想像できなくて、でも中は見られないし調べる方法もないし…
これもまた店頭で見かける度にどんなよ??って不思議というか疑問に思いながら背表紙を撫でておりました。
表紙も結構なインパクトだったので余計に読む勇気が無くてでも読んでみたくて…の板挟みだったなあ。
結局読んでそのあまりの奇想天外な物語の連続に“良い意味で”ヤバい作家さんだと認識したのを今もハッキリと覚えております。
丸尾先生も駕籠先生も、作風的には正に“エログロナンセンス”を詰め込んだ妖しさが魅力の作家さんで、サブカルというジャンルを通ろうと思ったらどちらかは必ず履修することになるんじゃないかなと勝手に思っていて。
こう書いたけれど両者の作風は全く違うので、どちらかが好きだから必ずしももう一方も受け入れられるという訳ではないとも思っているのでご注意くださいね💦
私は丸尾先生の漫画では「少女椿」が一番好きなんです。
実写映画化もされたので一番知名度が高い作品なのかなと思っております。
あくまで私個人の感想なんですけど、丸尾先生が描くと例えどんな汚い物でもある種美しく見えるのが不思議だなと思うんです。
「少女椿」はグロいし、話もドロドロしてるというかまあ綺麗なストーリーではないんですが、それでもなんか読み終わった時に芸術作品でも見たかのような気持ちになるんですよね(※個人の感想です)。
例え救いがないとしても嫌な気持ちにならないというのでしょうか?丸尾先生の作品はそんな不思議な読後感があるように思っております。
駕籠先生はまたちょっと違って、ブラックユーモアが強めな感じ。
丸尾作品にもブラックユーモア溢れるお話はあるんですけれども、駕籠先生はそれがより顕著に現れているかなと思うのです。
結構スプラッタ的なお話が多いのでそっち系が苦手な方には避けていただいた方が無難なのですが、意外と読んでると慣れる部分もあるかなと思ったりして(※超個人の感想です)。
あとはSF的なストーリーだったり、精神世界を描いた話があったりして非常に作品の幅が広く感じますね。
個人的に駕籠先生の作品で一番すげえ!と思っているのは「六識転想アタラクシア」。
これはねえ…
本当に読んでみないと分からん話の筆頭なのではないでしょうかね。
私が拙い言葉であらすじを書いてもこのストーリーの破壊力は表せないと思います(逃げてるようにしか見えないかも知れないけれど)。
読んでこれが気に入ったら「大葬儀」も読んでほしい。
このコミックスには「六識転想アタラクシア」に登場したキャラクターの短編ストーリーが載っているので(恐らく「大葬儀」だけ読んでも楽しめるとは思うけれど)その後に読んだら更に楽しめる予感です。
先程も書きましたが基本駕籠作品は血生臭いと思って間違いない訳ですが、それが苦手でそれでも駕籠真太郎先生の作品を読んでみたいんだ!という方がもしもいらっしゃれば「パラノイアストリート」辺りなら少しばかりマイルドな気がするので(私の感覚が麻痺してる可能性)そちらから手を出してみてはいかがでしょうか?
それでトラウマになったとしても自己責任でお願いいたします💦
ちなみに丸尾末広先生の作品で初心者向けがないか?と訊かれたら「ギチギチくん」と「風の魔転郎」をオススメするかな?
身構えずに読めるところがとても良いと思っております!
ここまで様々な本を紹介しましたが、中には絶版になっている本もあったりするのが辛い所です😣
だから電子書籍化されているものは本当手に入りやすくてありがたいんですよね☺️
今回私が紹介したサブカルチックなコミックスはヴィレッジヴァンガードに置いてあることが多いので、興味がある方は是非覗いてみてくださいね😊
私は一度置いてるだけ丸尾先生の本を買い揃えて持って帰るのが大変だったことが😳(A5版のが多いしそれより大きいサイズの旧版の「笑う吸血鬼」も買ってたので余計にでした)
買う時はそう言った意味でも計画的にですね☺️💦
ほとんど引っ越しの際に手放してしまったのでまた読みたい!!
好きな作品が電子書籍化しないか心待ちにしている私でございます(特に「少女椿」をずっと待ってる人)。
他にも気になっている作家さんがいて、西岡兄妹先生の作品をもっと読んでみたい。
「神の子供」だけKindle版があるので読んだのですが、ストーリーも作画もどの作家さんとも一線を画す作風であると思わせられました。
西岡兄妹先生は名前の通り兄妹で作品を作られているそうで、お兄様が作られているというどこか哲学的な雰囲気のあるストーリーと、妹さんが描かれた正に唯一無二と言うべき存在感を放つ美しくも残酷なイラストが相俟ってこの様な漫画が出来上がるんだなと思うと本当に凄いの一言(語彙力)。
確か絵本も描かれている(勿論子供向けではない模様)ので、そちらも読んでみたいなと思っております。
もっともっと語りたいところではありますが、ここまでいつもより色んな意味で濃い文章を沢山書いてしまった様な気がするので今回はここまで。
しおたろうはこういう系の話もいけるよ!ってブログでした。
ここまで読んでいただきありがとうございました!