銀河の死なない子供たちへを読みました
今回は施川ユウキ先生の「銀河の死なない子供たちへ」をご紹介します!
とある星での物語。
その星にはπと呼ばれる少女と、マッキと呼ばれる少年、その二人からママと呼ばれる美しい女性の三人以外には人間の姿をした生き物は存在しません。
πたちは不死身で、例えば身体を動物に食い荒らされたとしても暫くしたら元通りになる強い生命力を持つ代わりに子供の姿から成長することもないのです。
そんな二人の目の前に臨月の宇宙飛行士の女性が落ちてきて、その命と引き換えに赤ん坊を産み落としました。
πとマッキとは違う、不死身じゃない人間の子供です。
ママから命に限りがある動物をペットとして飼うのを禁止されていた二人は、ママに内緒でその赤ん坊・ミラを育て始めるのでした…
と、簡単に内容を説明するならばこんな感じでしょうか??
この作品はとても文学的かつ哲学的な漫画だなという印象を受けました。(相変わらずの語彙力のなさ)
気付いたら周りに自分たち以外に人間はいなくなっていて、いつの間にか死なないことが当たり前になっていたらどんなだろう??
πみたいに無邪気にやりたい事をやって過ごすのか、マッキの様に自分には訪れることがない死について考えるでしょうか。
私はママの言った「痛いのだけは飽きることができない」という言葉がとても心に残っています。
何十年、何百年と時を過ごし、全てをやり尽くしたら確かにそんな風に思ってしまうのかなあなんて。
この物語は激しいバトルが描かれている訳でもなければ、甘い恋愛が模様が見られる訳でもありません。
極めて緩やかに時が流れていく様が描かれている作品であると私は感じました。
二人の元にミラが現れたことはその世界観に小さな、でも確実な変化をもたらします。
赤ん坊だったミラはいつしか二人の背を追い抜き、成長していくのです。
ミラの命には限りがあります。
二人にとって初めて出会った不死身ではない人間。
必ず訪れるミラとの永遠の別れに二人は何を思うのでしょうか??
登場人物の心の機微というんですかね?そういうのを隅々まで感じ取りたいと思いながら読んでいました。
上下巻と短いお話ながら中身はギュッと凝縮された様な読み応えがあった気がします。
途中にも書いた様にあまり派手さのあるストーリーではなく、若干シュールな箇所や、ややグロテスクな場面もあるのでそういった漫画が得意ではない方にはオススメし難いですが、私的には好きなお話でした。
SFが好きな方や、物語を考察するのが好きな方には是非オススメしたいかなと思っています!
ちなみに一つ読む時のアドバイスなんですが、最初のπ編は「銀河の死なない子供たちへ」の導入部に当たる話と言っても良いと思います。
最初よく分からなくて「ん??」となる方もいるかも知れません(私はちょっとそうなった💦いやもしかしたら私だけかも知れない😓)
しかし後々「そういうことか!」と思える筈なのでそこで諦めず、マッキたちが登場するところまでは読んで欲しい!!
πの聴かせるライムはかなりシュールですが(笑)それもご愛嬌☺️
最後まで読んだ時に、貴方もこの物語に出会えて良かったと思ってくれたとしたらとても幸せです。