しおたろうの気ままな生活

レビューを書いたり、好きなアイドルについて語ったり、はたまたメンタルヘルスについて認めたりするごった煮みたいなブログです

人間仮免中を読みました

今回は卯月妙子先生の「人間仮免中」のご紹介です。

 

 

この本はエッセイ作品です。

 

重度の統合失調症患者である作者の卯月先生が歩道橋から飛び降り自殺を図る場面から始まるという、なかなかハードなお話であります。

 

大まかな内容としては、25歳年の離れたボビーさんと付き合ってからの生活を描いた漫画ですね。

 

瞬間湯沸かし器のように火が付くとすぐ怒ったりもするけれど、卯月先生を想って涙を流したり、その心根には優しさや義の心が沢山詰まっているボビーさんは本当カッコいいなと思いました😊

 

実は卯月先生の漫画で初めて読んだのは「実録企画モノ」でした。

 

 

こちらの作品も改めてご紹介できればと思うのですが、この頃の卯月先生は色んな意味で尖ってたなと読み比べた時に思わされました。

 

「実録企画モノ」の頃は自身の病については描かれておらず、なんというか正気のまま狂気を操っているようなそんな印象を持っていたのですが、「人間仮免中」を読んだらそんなイメージがガラリと変わりました。

 

癇癪持ちのボビーさんと喧嘩をする場面はあるものの、喧嘩を見ていた方が「惚気かよ」みたいなツッコミを入れるのが分かるくらい、それは仲が良いからなんだろうなあと思えるというか…凄く丸くなられたんだなあと感じたんですね。

 

この漫画は統合失調症を患った方が描いた漫画という観点からも非常に興味深いですね(※統合失調症の人がみんな同じような症状を抱えてるかと言えばそれは違うので飽くまで症例の一つだと言うことを忘れずに読んでいただきたいと思います)。

 

幻覚や幻聴の症状から周りを他害しないように堪える姿や、自殺未遂をして救命病棟に入院されている時に見えていた何者かの描写は非常に壮絶でした。

 

後から考えて明らかに幻だったと分かるものもあれば「あれは幻聴だったと思うけど実際どうだったのかな」と思うものもあると言うのを見て、統合失調症と戦うのは大変なのだと改めて感じました。

 

私は若い頃に精神科病院の受付をしていたことがあって、そこには鬱病だけでなく、統合失調症の患者さんも沢山通ってらっしゃいました。

 

もしかしたら統合失調症と聞いたら身構えてしまうという方が多いかも知れないんですが、実際患者さんは優しい方が多くて働いていた当時は凄く親切にしていただいたんですね。

 

病院勤務時代は苦い思い出が多い時代でもありますが、優しさを沢山感じられた時でもあったのかも知れない…

 

調子が良いからと断薬してしまって(多分これは作中出てくる万能感がさせてしまうのかも)一気に体調を崩して…なんて姿を見ることもあったので、もしかしたらその方の身にもこの作品で卯月先生が体験されたような症状が出たりしていたのかも知れないなあと思い返したりしながら読了いたしました。

 

最初の方に卯月先生が丸くなったと書いたんですが、作品自体はかなり壮絶です。

 

投身自殺の場面から始まる物語が柔らかくてほのぼのしたお話な訳ないもんなあ😓

 

だから読むなら是非心身共に健やかな時が良いと思います。

 

この本を初めて読んだのは何年前だったかなあ?

 

読むとなかなかに削られますが、時々無性に読みたくなる作品です。

 

作風的にはサブカルっぽさのある話のような気がします。

 

でも「このマンガがすごい!」に選ばれた漫画なので私が紹介するより先に読んでいる方が多いと思うし、サブカルなんて括りを付けて読者層を狭めるのも勿体ないから、紹介する時には「愛を描いたエッセイ」と言うのが良いかな?

 

卯月先生とボビーさんの愛の姿を是非色んな方に見て欲しいな。

 

オススメです☺️