僕らの色彩を読みました
今回は田亀源五郎先生の「僕らの色彩」のご紹介です。
こちらの作品は「弟の夫」に次いで田亀先生が手掛けられた全年齢向けの連載作品です。
前回は社会人が主人公のストーリーでしたが、今回は高校生の少年が主人公のお話です。
今回は結構ネタバレしてしまいそうなので、ネタバレダメ絶対な方は回れ右でお願いします!
あと自分語りも多くなると思うので、そういうのを見るのが嫌な方もごめんなさい。
この物語はゲイであることを誰にも言えず悶々と過ごしていた少年が、ゲイであることをオープンにしている中年男性に出会ったことで少しずつ変わっていく様がとても爽やかに描かれています。
全3巻で終了と聞いた時には、かなり駆け足で終わってしまうのでは…と思っていたのですがそれはいらぬ心配でした。
私個人の意見ではありますが、とても丁寧に考えられた結末のように感じました。
カミングアウトすることはとても勇気がいることです。
もしかしたらその事で相手とは今までと同じ様にいられないかも知れない。
そんな事もあり得なくない、一大イベントといっても差し支えないと思います。
一概にカミングアウトすることが全てにおいて正しいとも言えないし、クロゼットである事が間違っているとも言えない。とてもデリケートな問題だと認識しています。
ちなみに私は両親と一部の友人にカミングアウトしているのですが、それはカミングアウトしていない人を信用していない訳ではありません。
本当なら自分がセクシャルマイノリティであることを誰にも隠す事なく過ごす事ができれば楽だろうし、ストレスも少ないでしょう。
でも残念な事ですが、今の日本はそうすることで自分が生活していく事が不利になることが多いというのが現実のところです。
事実私は田舎暮らしのため、親からは他の人に言ってくれるなと釘を刺されています。
この作品で、主人公が「カミングアウトは一度で済まない」と嘆くシーンがありました。
これは本当にそうですよね。
一度誰かに言えばそうカテゴライズされてみんなに伝わる訳ではないから、伝えてない人は知らないまま。
多分何か決定的なことがなければ、「この人はセクシャルマイノリティなんだろうなあ」なんて分かる人はいないし、相手が異性愛者であると思う事になんの疑問も持たないのが現状なのだと思います。
ゲイコミュニティなどで出会ったなら別ですが、大体の場合セクマイ当事者が好きな相手ができたら、まず自分のセクシャリティを相手に理解してもらわなければならないという大きな壁があるので、何度もカムアウトしなければいけないというハードルはなかなか辛いものです。
カムアウトすることなんて考えた事もなかった主人公と、誰にも隠さない事に決めたマスターが出会った事はとても良い化学反応を起こしたように感じました。
私が自分自身のセクシャリティを受け入れる事ができたのは30歳近くでした。
そこで同じようにレズビアンの人がいることを知って、実際に会って…という経緯を経て今の私がいます。
それまでの自分にとったら主人公の宙と同じように、自分が同性愛者であることを口に出す事はあり得ない事だったし、恋人どころか同志がいるなんてことすら夢物語のように思っていました。
だから、高校生で自分のセクシャリティをオープンにしているマスターに出会うことができた宙を羨ましいと思ったし、その出会いがとても運命的なものに思えた。
幼馴染との関係性も素敵だなと思ったし、ご両親との関係も良いなと感じました。
でも宙の人生はまだまだこれからであって、どの様に進んでいくのも彼次第。
だからこのストーリーはきっと希望を描いた物語なのだろうと最後まで読んで思いました。
是非、思春期に自身のセクシャリティで悩んでる子にも読んでほしいなあ。
できればそうでない子にも読んで何か感じてほしい。
勿論、大人にもオススメしたい作品でございます。
願わくばまた田亀源五郎先生のこういうストーリーを読みたいです。
読む際は是非ともまとめ読みをおすすめします!
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