マンガでわかるうつ病のリアルを読みました
今回は錦山まる先生の「マンガでわかるうつ病のリアル」をご紹介します。
突然ですが、私は10年以上鬱を患って薬を飲み続けています。
初期の頃よりだいぶ落ち着いてきたように感じはするものの、まだまだ体調には波があって急に電池が切れたみたいに思考が停止してしまう、動きが緩慢になってしまうなんてことが今でもあるのです。
錦山先生のことはTwitterで以前より存じておりまして、その呟きに時にハッとさせられたり、癒されたりしておりました。
錦山先生がKADOKAWAから本を出版されたと知り、是非読んでみたいと思っていたのです。
マンガとうつ病についてと言えば、田中圭一先生の「うつヌケ」を思い出される方は少なくないと思います。
私も読んで、一度このブログで紹介させていただきました。
「マンガでわかるうつ病のリアル」と「うつヌケ」はコンセプトとしては似ていますが、その対象というのでしょうか??
ターゲットが明確に違うように感じました。
「マンガでわかるうつ病のリアル」は鬱で苦しむ真っ只中の人に「そういうこと(あらゆる症状)は病気のせいだから貴方が悪いんじゃないんだよ」と改めて教えてくれるのと同時に、鬱経験のない人に対して「鬱で悩んでる人には出来ればこう接してもらえたら嬉しいと思う」という助言をくれている作品だなと思いました。
「うつヌケ」はどちらかというと「こうしたら鬱を抜けるキッカケになったよ!」という治る為のワンステップ(治療法ではない)が描いてある鬱闘病者向けの本のように私は受け止めたので、そう考えると同じ「マンガ・鬱病」を題材にした本でも色んなアプローチの仕方があるのだなと新たな発見でもありました。
さて、現患者として読んでみた感想なのですが、簡潔に纏めると読んで良かったと思いました。
実は最近体調が優れない日が続いていて、希死念慮まではいかないかも知れないんですが「自分なんていなくても良いんじゃなかろうか」という気持ちが沸沸とわいて苦しかったんです。
でもこの本を読んだことで、自分の身に起きていることは鬱の症状であって、必ずしも自分が駄目人間だからとは限らないんだなと気づけました。
結構字の多い本なのですが、当事者として肯ける点が多々あって不思議と内容がするりと入ってきたのが嬉しかったです。
辛い時は本文にもありましたが、本すら読めないこともあるので…
そして最後の錦山先生の言葉に思わず涙してしまいました。
鬱病がメディアに取り上げられることが増えたとは言え、命に関わる病気であることを認識してる人ってどれくらいいるんだろう??
生まれる前に戻って自分の存在をなかったことにしたいとまで思う苦しみを理解できる人が果たしてどれだけいるんだろうかと。
少なくとも錦山先生はそういう状態になってしまうことがあることを分かってくれていて、最後に伝えたい言葉を書いてくれたことに感謝しかないです。
勿論同じ鬱病と診断されても症状はそれぞれだし、全く同じことを思うなんてことはないと思います。
でも、それでもやっぱりこの本を出してくれたことはありがたいことだと思いました。
闘病者にも読んで欲しいし、その周りの人にも読んで欲しい。
そして一番は鬱なんて無関係って思ってる人にこそ読んで欲しい一冊でした。
あの時あんな事があったけど今生きてて良かったと思える人が一人でも増えますように。
そう願わずにはいられません。