彼女の腕は掴めないを読みました
今回は理央先生の「彼女の腕は掴めない」のご紹介です!
このお話はアポテムノフィリア(四肢欠損した身体を好む性的嗜好のこと)の青年が、先天的に両腕のない少女を誘拐したことに始まる物語。
青年は彼女が側にいることを最上の幸福と思い、初めこそ誘拐犯に不信感を持っていた少女も彼の犯罪者らしからぬ毒気の無さに少しずつ心を開いていきます。
しかし青年は少女と過ごしているうちに、過去に自分が起こした過ちへ罪悪感を募らせるように…
果たしてその罪とは?
誘拐から始まった2人の関係に未来はあるのか??
簡単に説明するとそんな流れのお話ですかね(要点をまとめるのが苦手で毎度申し訳ありません💦)。
この漫画は表紙とタイトルにとても惹かれて購入を決めました。
腕がないヒロインと「彼女の腕は掴めない」っていうタイトルめっちゃ秀逸だと思うんですよ!
掴みたいけど“ない”と言うのは勿論ですが、ある意味“その腕(=運命)”を掴むのは困難であるという意味もあるような気がして。
勝手な深読みです(笑)
こういったハンディキャップを扱うのって結構タブー視されてるように思っていて、車椅子を使用してるキャラクターやその他にもそういうキャラクターが登場する物語はあるんですが、なんていうのかなあ…それを美点とする話ってあまり表に出てこない気がするんです。
障害を絡めた美談を描いたものは結構ありふれてると思うんだけど、ここって似ているようで天と地ほどの差がある要素だと思うんですよね。
(ここから書くことは人によっては倫理的にどうなの?って思われるかも知れないのでサブカル苦手な人は特に読まないで欲しい箇所なんですけど)「少女椿」とか「六識転想アタラクシア」とかPCゲームの「かたわ少女」(概要を見ただけで未プレイなのでちゃんとプレイしたい)とか…そういう奇形の登場人物がいる作品を見ると欠損していることにある種の美しさを感じると言うことがままあったりするのですがそういう作品てアングラというか、エログロナンセンスの世界を描いたような本当に限られた人だけが触れる世界じゃないですか(丸尾末広先生、駕籠真太郎先生及びゲームの制作者様のことは大変尊敬申し上げております)。
だから何が言いたいかって言うと「障害持ってるけど頑張ってます☆」みたいな切り口じゃないこういう作品が一般向けで出版された事が凄いと私はそう思うのです。
一応誤解を招かないように書いておきますが、上記のように書いたのは決して障害を持ってる人を下に見てると言うことじゃなくて、なんか障害がある人が出てくるストーリー=清廉潔白でみんなが善の人でなければいけないみたいな風潮が現実と違和感があって苦手なのです。
もしくは分かりやすい悪役がいてその人に負けないように頑張る!みたいなのもなんかなあって。
話が少しズレましたが、この物語はそういう偽善に感じるところが少ないのかなあって思うんですよね。
勿論ご都合主義に思える展開がないと言えば嘘になります(そもそも誘拐して性的に何かするでもなく大切にして、被害者も帰れる隙があっても逃げ出さないとか。一種のストックホルム症候群のように思えなくもないけどなんかしっくりこない…)。
でもなんか人の自分勝手な所だとかそういう負の感情も書くことで今までの作品と一線を画す物語になっているのではないかなあなどと思うのです。
一番は単純な御涙頂戴ストーリーになってないのが好きかなって思います。
全3巻と割と短めの話なので、もう少し欲しいエピソードもありましたが(情報屋関連やらなんやら)個人的には読んで良かったなと思っている漫画です。
私の紹介文があっちゃこっちゃいってるので参考になるか分かりませんが、このブログを読んで少しでも引っ掛かるところがあったら読んでみても良いかも知れません。
読む時は3冊用意した上で読み始めることをオススメします。
私的に1巻より2巻、2巻より3巻という感じで満足度が上がっていったのでですね。
今回は普段あまり言わない方が良いかなと封じ込めてる事まで書いてしまったような気がします…(大丈夫かな)
何はともあれオススメしたい一作でございます。